これだけは知っておきたい「人工知能」のこと

人工知能の未来は?

   最近、人工知能に関するニュースが目立つようになりました。

人工知能を使って小説を書かせたり、囲碁で人間と対決させたりと、科学の発達には目を見張るものがあります。

今後の人工知能はどのようになっていくのでしょうか。

人工知能とは?

   人工知能(AI)とは、人工的にコンピュータ上で人間と同様の知能を実現させようという試み、またはそのための一連の基礎技術を指します。

人工知能という名前は、1956年にダートマス会議で、ジョン・マッカーシーにより命名されました。

現在では、記号処理を用いた知能の記述を主体とする情報処理や研究でのアプローチという意味でも、使われています。

日常語としての人工知能という呼び名は、非常に曖昧なものになっており、多少気の利いた家庭用電気機械器具の制御システムやゲームソフトの思考ルーチンなどがこう呼ばれることもあります。

プログラミング言語 LISP による「ELIZA」というカウンセラーを模倣したプログラムがしばしば引き合いに出されますが、計算機に人間の専門家の役割をさせようという「エキスパートシステム」と呼ばれる研究・情報処理システムの実現は、人間が暗黙に持つ常識の記述が問題となり、実用への利用が困難視されているのが現状です。

人工的な知能の実現へのアプローチとしては、「ファジィ理論」や「ニューラルネットワーク」などのようなアプローチも知られていますが、従来の人工知能の差は記述の記号的明示性にあると言えるでしょう。

近年では、「サポートベクターマシン」が注目を集めた。また、自らの経験を元に学習を行う強化学習という手法もあります。

人工知能の歴史

17世紀初め、ルネ・デカルトは、動物の身体がただの複雑な機械であると提唱しました。

ブレーズ・パスカルは1642年、最初の機械式計算機を製作しました。チャールズ・バベッジとエイダ・ラブレスは、プログラム可能な機械式計算機の開発を行いました。

バートランド・ラッセルとアルフレッド・ノース・ホワイトヘッドは『数学原理』を出版し、形式論理に革命をもたらしました。

ウォーレン・マカロックとウォルター・ピッツは「神経活動に内在するアイデアの論理計算」と題する論文を1943年に発表し、ニューラルネットワークの基礎を築きました。

1950年代になるとAIに関して活発な成果が出始めました。

ジョン・マッカーシーはAIに関する最初の会議で「人工知能」という用語を作り出しました。

彼はまたプログラミング言語 LISP を開発しました。

知的ふるまいに関するテストを可能にする方法として、アラン・チューリングは「チューリングテスト」を導入しました。

ジョセフ・ワイゼンバウムは ELIZA を構築しました。これは来談者中心療法を行うおしゃべりボットです。

1960年代と1970年代の間に、ジョエル・モーゼスは プログラム中で積分問題での記号的推論のパワーを示しました。

マービン・ミンスキーとシーモア・パパートは『パーセプトロン』を出版して単純なニューラルネットの限界を示し、アラン・カルメラウアーはプログラミング言語 Prolog を開発しました。

テッド・ショートリッフェは医学的診断と療法におけるルールベースシステムを構築し、知識表現と推論のパワーを示しました。

これは、最初のエキスパートシステムと呼ばれることもあります。ハンス・モラベツは、散らかされた障害コースを自律的に協議して走行する最初のコンピュータ制御の乗り物を開発しました。

1980年代に、ニューラルネットワークはバックプロパゲーションアルゴリズムによって広く使われるようになりました。

1990年代はAIの多くの分野で様々なアプリケーションが成果を上げました。

特に、チェス専用コンピュータ・ディープ・ブルーは、1997年にガルリ・カスパロフを打ち負かしました。

国防高等研究計画局は、最初の湾岸戦争においてユニットをスケジューリングするのにAIを使い、これによって省かれたコストが1950年代以来のAI研究への政府の投資全額を上回ったことを明らかにしました。

日本では甘利俊一(日本学士院会員)らが精力的に啓蒙し、優秀な成果も発生しましたが、論理のブラックボックス性が指摘されました。

1982年から1992年まで日本の国家プロジェクトとして570億円を費やす第五世代コンピュータの研究をしていましたが、目標であるエキスパートシステムといった高度な人工知能の実現には至りませんでした。この時代にロドニー・ブルックスが、人工知能には身体が必須との学説(身体性)を提唱しています。

1996年、手塚眞総合監修で富士通が人工知能を備えた空飛ぶイルカ「フィンフィン」が主人公のパソコンソフト『TEO -もうひとつの地球-』を開発しています。

2010年には質問応答システムのワトソンが、クイズ番組「ジェパディ!」の練習戦で人間に勝利し、大きなニュースとなりました。

2013年には国立情報学研究所や富士通研究所の研究チームが、人工知能で東京大学 入試の模擬試験に挑んだと発表しました。

数式の計算や単語の解析にあたる専用プログラムを使い、実際に受験生が臨んだ大学入試センター試験と東大の2次試験の問題を解読しました。

代々木ゼミナールの判定では「東大の合格は難しいが、私立大学には合格できる水準」でした。

ジェフ・ホーキンスが独自の理論に基づき、人工知能の実現に向けて研究を続けています。

ジェフ・ホーキンスは、著書『考える脳 考えるコンピューター』の中で自己連想記憶理論という独自の理論を展開しています。

各国は無人戦闘機UCAV、無人自動車ロボットカーの開発をしていますが、完全な自動化には至っていません。

P-1 (哨戒機)のように戦闘指揮システムに支援用の人工知能が搭載されることはあります。

またロボット向け人工知能としては、MITコンピュータ科学・人工知能研究所のロドニー・ブルックスが提唱した包摂アーキテクチャという理論が登場しています。

これは従来型の「我思う、故に我あり」の知が先行する人工知能ではなく、体の神経ネットワークのみを用いて環境から学習する行動型システムを用いています。

これに基づいたゲンギスと呼ばれる六本足のロボットは、いわゆる「脳」を持たないにも関わらず、まるで生きているかのように行動します。

2045年には人工知能が知識・知能の点で人間を超越し、科学技術の進歩を担う技術的特異点(シンギュラリティ)が訪れるとする「2045年問題」を唱える学者もいます。

人工知能の未来

人工知能の進化は近年めざましく、多種多様なサービスで我々の生活に浸透し始めています。

例えば、ソフトバンクが2015年6月から一般向けに発売を開始したPepper(ペッパー)は、感情を持ったパーソナルロボットで、人によりそい、持ち主に笑顔をもたらすさまざまな仕掛けが搭載されています。将棋の世界では2010年以降、プロ棋士が次々とコンピュータ将棋に敗北を喫しました。

また、NTTコミュニケーションズ株式会社は2015年10月、AIがコールセンターの一次受け付けや店頭窓口対応を担う対話業務支援サービスを、2016年夏から提供開始すると発表しています。

スマートフォン(スマホ)業界では、人工知能開発がOSの主導権争いの切り札になりそうです。

グーグルは、2015年第3四半期にリリースした次期モバイルOS「Android M」に「Now on tap」を搭載しました。ユーザーの現在の行動内容を人工知能が理解し、ユーザーに最適な情報を提供します。

例えば、電子メールを読んでいるときにボタンをタップすると、人工知能がユーザーの電子メールを読み込んで内容を理解。その電子メールの内容を補完する情報を提供します。

今後人工知能の研究が進めば、さらなる有効活用が期待できます。

ウェザーニューズ・AIイノベーションセンターの羽入拓朗リーダーは、世界的にも珍しい、雲の画像認識と機械学習という難しいテーマに取り組みました。

研究成果は2014年の雲画像解析システムに採用されました。精度が向上すればAIによる気象予報や、若手の気象予報士をAIがサポートすることも考えられると言います。

   Facebookも人工知能の開発に力を入れています。

長期的には人工知能研究を推し進め、インテリジェントな機能を提供するとしています。

具体的には個人秘書(Personal Assistant)や質疑応答(Questions & Answers)の形態で実装すると言います。

個人秘書は状況に応じて利用者にアドバイスを行います。

例えば、みっともない写真(泥酔した自撮り写真など)を投稿しようとすると、システムはそれを認識し、再考を促すメッセージを表示します。

(米国の)Facebook利用者は若者が多く、システムが両親に代わって行き過ぎた行為を戒める効果が見込めます。

   人工知能が進化し続けると、将来の世界はどのようになるのかについての議論も巻き起こっています。

その一つが2045年に訪れると言われているシンギュラリティ(技術的特異点)問題です。

シンギュラリティとは、コンピュータが進化し、その知能が人類の知能を凌駕する時点を指します。

シンギュラリティを超えると何が起こるのかについての見解はさまざまですが、「コンピュータが人間を支配する」などという意見もあります。

   シンギュラリティ問題は、医療分野でも意識されています。

「第29回 日本医学会総会 2015 関西」の学術講演で、帝京大学 医療情報システム研究センター教授の澤智博氏は、「手順化・マニュアル化できる仕事は、人工知能とロボットに代替される可能性があります。

医学教育は安全性を担保するために手順化・マニュアル化してきたが、われわれ医療者が考えなければいけないのは、それだけに頼って医学教育を行っていくと医療者の仕事は代替されてしまうかもしれない」と述べていいます。

人工知能の需要はますます増大するだろう

   科学の進歩によって、今後社会の様々な分野で普及していくでしょう。